洗車で鉄粉取りの方法をプロが伝授
「洗車後なのに汚れが残っている気がする」といった経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。その汚れの正体は、鉄粉である可能性が高いです。 鉄粉が残っていると、こうしたお悩みが出てくることがあります。
- ボディやホイールの表面がザラザラする
- 茶色の斑点が落ちない
- 洗車後の水切れが悪く汚れが残りやすい
大切な愛車であれば、鉄粉の存在はかなり気になるところでしょう。
そこで今回の記事では、車の鉄粉が気になる方に向けて洗車の鉄粉取りについてプロが解説していきます。
車についた鉄粉とは
基本的に、鉄粉は車のボディ全体に付着します。
付着しやすい場所は、車のルーフやボンネットといった上を向いた面が多い傾向にあります。ドアやフェンダーといったサイド面、クランクケースなど下回りは駐車時も走行時も鉄粉が留まりにくいですが、上を向いている面はその場に滞在しやすいからです。
新車時には存在しませんが、乗り続けることで塗装面に鉄粉が付着していきます。
なぜ鉄粉がつくの?
付着した鉄粉が酸化することで、塗装面にくっついてしまいます。
つまり、始めに鉄粉が付いても固着しないのですが、時間の経過によって鉄粉が錆びていくことで食い込んだり引っ付いたりするのです。
車に鉄粉が付着する主な場所は、以下のとおりです。
- 鋼鉄工場や溶接工場の周辺
- 鉄道沿線
- 幹線道路の近く
- 高速道路の高架下
- ブレーキパッドやローター(輸入車)
実は、鉄粉というのは目に見えないだけで空気中に微細なものが舞っています。屋外の駐車中や走行中は常に空気にさらされているので、車の塗装面に付着してしまうのです。
鋼鉄工場や溶接工場などは、「加工した金属の粉」、鉄道沿線は「電車の車輪や鉄道のレールが削れたもの」が空気中を待っています。幹線道路や高速道路の高架下は「車のブレーキダスト(ブレーキディスクやローターが削れた粉)や土埃」などが舞っているので、鉄粉が付きやすいといえます。
また、輸入車の場合はブレーキパッドやローター(鉄の円盤状のもの)をすり減らしてブレーキをかけるので、鉄の粉が飛びます。そのため、純正のブレーキやローターを装着した輸入車のホイールは黒く変色しやすいのです。
鉄粉がつくとどうなる?
鉄粉はボディに付着したばかりなら塗装面に乗っただけの状態なので、すぐに洗車することで洗い落とすことも可能です。
しかし、鉄粉を放置してしまうことで以下のようなデメリットが発生します。
- 愛車の塗装面に茶色の斑点が出る
- ザラザラして洗車後に水をふき取りにくくなってしまう
- 洗車だけでは簡単に取り除けなくなってしまう
- 大きい鉄粉が固着して抜いたあとは、塗装に大きな穴があく
- 無理に取ろうとすると車の塗装を痛める恐れがある
鉄粉が多いと、塗装が肌の毛穴のように多くの穴があいてしまうこともあるので、早めに除去することをおすすめします。
また、鉄粉が塗装面から鉄板まで到達してしまうと、最悪の場合ボディパネルごと錆びてしまうケースもあるので、注意が必要です。
通常の洗車では落ちない!
鉄粉が酸化して引っついた状態では、通常の洗車では落ちません。 付着してすぐの鉄粉なら通常の洗車でも落とせますが、時間が経過した鉄粉は酸化して塗装面に固着してしまうため、なかなか落とせないのです。
固着した鉄粉を塗装面から除去するには、専用のものを使用します。
次で、おすすめの鉄粉除去法をご紹介していきます。
おすすめ鉄粉除去法は?
おすすめ鉄粉除去法は、大きく2つあります。
- 鉄粉取りグッズを使う
- カーコーティングで鉄粉取り
上から順番に解説していきます。
鉄粉取りグッズをつかう
1つめは、鉄粉取りグッズを使って鉄粉を除去する方法です。 鉄粉取りグッズには、以下のようなものがあります。
- 鉄粉除去専用の粘土(トラップ粘土)
- ラバーパッドやラバークロス
- 鉄粉除去剤
鉄粉除去専用の粘土は、頑固に固着した鉄粉の除去に最適です。
繰り返し使えることから経済的であり、確かめながら作業できるため新たな汚れも発見しやすいです。
しかし、粘土が固くなる冬にはお湯を使って柔らかくする必要があるほか、ボディにキズを付けてしまうリスクを減らすために水を流しながら擦るのが一般的です。
ラバーパッドやラバークロスは、ゴム製の凹凸面で鉄粉を除去できるグッズです。
鉄粉を除去できるようにパッドやクロスに特殊加工が施されていて、粘土よりもボディにキズがつくリスクは低くなります。 しかし、粘土と比べると除去する力は弱く、細かい磨きキズが付いてしまうリスクは避けられません。
鉄粉除去剤は、鉄粉を溶解することができるグッズです。
スプレータイプのものが主流であり、鉄粉があると紫色に反応するものが多く販売されています。ひと括りに除去剤といってもさまざまですが、化学反応によって鉄粉を溶解されることからボディにキズがつくリスクはありません。
ただし、粘土やラバー製品と違って一回で取れないこともあるので、固着が酷い場合には何度も作業する必要があります。
あまり予算をかけたくない人には、鉄粉取りグッズを使う方法がおすすめです。
カーコーティングで鉄粉取り
2つめは、鉄粉取りしたあとにカーコーティングを施工する方法です。
カーコーティングの専門店では、新車以外はボディを磨いてからコーティングを施工します。キレイな状態でコーティングを施工しないと、美しいツヤが出ないためです。
粘土やラバー、鉄粉除去剤といった鉄粉取りグッズを使うことで、自分でも手軽に鉄粉を除去することは可能です。しかし、車のボディを磨くことを専門とする業者が鉄粉を除去する方が、遥かにボディはキレイになります。
ただ、鉄粉取りのためだけにコーティングを施工することは、予算が高くなると思われるかもしれません。
しかし、コーティングがあると洗車が楽になりますし、ボディはキレイな状態を長く維持できます。同時に、施工後は鉄粉が付着してもコーティングの被膜なので、塗装面は守ることができるのです。
鉄粉の除去を定期的に行うのが苦手な人には、カーコーティングの施工をおすすめします。
こまめなお手入れを
空気中に含まれていることから、鉄粉を100%防ぐことはできません。
そのため、2ヶ月から6ヶ月おきに鉄粉取りをするなどの対策が必要です。
コーティングを施工していても鉄粉は一番上に付着するものなので、コーティング施工の有無に限らず付着してしまいます。洗車の頻度を増やして、酸化する前に鉄粉を取り除いた方がキレイな状態は維持できますし、コーティングの痛みも最小限で済みます。
また、コーティングそのものも1年ほどで施工するようにしましょう。
以上のように、鉄粉を除去しやすくするには普段からのこまめなお手入れをしておくといいでしょう。
まとめ
今回の記事では、車の鉄粉が気になる方に向けて洗車の鉄粉取りについてプロが解説しました。
鉄粉の付着から愛車を守るベストな方法は、そもそも愛車に鉄粉が付かないようにすることです。
屋根付き駐車であれば鉄粉の飛散から愛車の身を守り、鉄粉の付着を最低限におさえることも可能です。
しかし、青空駐車であったり仕事などの理由で長時間外に駐車することが多かったりするなど、常に鉄粉から身を守ることが難しい状況もあるでしょう。そんな過酷な環境から愛車を守るのであれば、ボディカバーを使用して空気中の鉄粉から愛車を守る方法も有効です。
繰り返しますが、それでも鉄粉から愛車を100%守ることはできないので、こまめな洗車を心がけるようにしましょう。